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名所・歴史探訪

土地の名所・史跡は、様々な歴史を教えてくれます。観光にとどまらず、ライターならではの目線で由緒あるスポットを詳しくご紹介します。

成田 青央

語ろ具ライターによるオリジナル記事です。

栃木県・宇都宮城〜日本全国47都道府県・不思議再発見の旅vol.9

関東北部に位置する栃木県。復元されたばかりの宇都宮城を見つめながら、ここでみつけた不思議について思いをはせてみませんか。(編)

日本全国47都道府県を北から順に巡り、その土地の歴史的な不思議をご紹介していきたいと思います。第9回目は栃木県の宇都宮城に行ってきました。

■宇都宮城には「釣り天井」が実在した!?
2007年3月、宇都宮市民を中心とする有志の手で宇都宮城の一部が復元された。
本丸土塁の一部と、土塁上に建つ富士見櫓(ふじみやぐら)、清明台(せいめいだい)、および土塀である。

富士見櫓土塀の白がまぶしい
清明台


これまで宇都宮といえば、広大な城下町でありながら、城跡らしい遺構が存在しなかった。

宇都宮城下町絵図
これは、もともとこの地には「関東七名城」に数えられる中世城郭があったのだが、領主の本多氏が近世城郭に改修する際に、幕府をはばかって天守を立てなかったことや、東北の城らしく、築城にあたっては石垣をほとんど用いずに土塁のみの城構えだったこと、さらには戊辰戦争の折に新政府軍が撤退するにあたり、二の丸に放火したために、城全体が丸二日にわたり焼失したことなどによる。

さらには、平地に水堀を巡らした平城であったことも、都市の近代化の波に飲まれやすかったのであろう。昭和の30年頃まで存在していた内堀も、公衆衛生を理由に埋め立てられてしまった。

その結果、まったく城らしくなくなってしまった宇都宮城であるが、実は、講談や歌舞伎の世界においては、恐れ多くも徳川将軍を暗殺するために、湯殿や寝所の天井が大石と共に落下する「釣り天井」を備えた城として、広く世間に知られてきた。

物語は、家康の側近だった本多正信の子・正純(まさずみ)が、15万石に加増されて宇都宮に移封されたことに始まる。正純は家康の七回忌に2代将軍・徳川秀忠が日光東照宮を参拝した後、宇都宮城に一泊する予定であったため、城の普請や御成御殿の造営を行わせた。

しかし、この正純の加増を快く思わなかった秀忠の姉・亀姫が、「宇都宮城の普請の影に、将軍暗殺の計画がある」と秀忠へ密告したため、将軍一行は急遽予定を変更して、宇都宮城を通過し、夜を徹しての強行軍で江戸城へ帰還した。

本多正純
その後ほどなく、正純は失脚し、出羽に流罪となっているが、この暗殺事件そのものは、当時の幕閣の覇権争いに託けられたフィクションであり、当然、宇都宮城には将軍の湯殿や寝所の天井が落下するカラクリなどはなかった。

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