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映画「この自由な世界で」〜語ろ具ライター(桑島まさきさん)が映画を紹介

映画「この自由な世界で」
(C)Sixteen Films Ltd, BIM Distribuzione, EMC GmbH and Tornasol Films S.A. MMVII
(画像をクリックすると、@nifty映画の「この自由な世界で」のページが開きます)
2008年8月16日(土)公開 渋谷シネ・アミューズ他、全国順次ロードショー

社会の片隅で懸命に生きる労働者階級の人々を主人公にして社会の矛盾を描きながら、その視線は常に冷静で公平、そして温かい。観ている側の私はカッカときて、いつまでも考えさせられるというのにだ。そーいう点も含め、ケン・ローチは本当に巧い映画監督だと思う。
そんなローチの最新作は、ロンドンの労働者階級に属するシングルマザーのアンジーの逞しくエネルギッシュな生き方を通して、自分の幸福を得るために他者を犠牲にすることが自由主義なのかという問いを、移民問題を通して問いかける。いつもながら市井の人々のドラマを描きながら、社会問題をさりげなくあぶり出す手腕はお見事だ。

ロンドン。一人息子を実家の両親に預けて職業紹介会社で働くアンジー(キルストン・ウェアリング)は、野心的で仕事もできるが、なかなか成功をつかめない。現在の会社を不当解雇され、ルームメイトのローズを誘い2人で職業紹介所を立ち上げる。ひょんな事から不法移民を雇用させれば儲かると聞き、息子と自分の将来のために危ない道へと踏み出してしまうのだった。
行きつけのパブの裏庭に不法移民たちを集め、毎朝仕事を求める移民たちをさばき、車に乗せ、仕事に行かせる。移民たちは生きるために必死だ。アンジーは皮ジャン姿でバイクに乗り営業廻り、時には豊満なバストをチラつかせるタフな女だ。その上、金髪美人。
しかし、得意先の一つにトラブルがおこり移民たちに給料を払えないアンジーとローズに移民たちの怒りは爆発するのだった……。

アンジーは移民たちを見捨てる。さらに、大きな仕事のために移民たちの将来を左右することを平気でやってのける(未見の方のために省略します)。裏切り行為そのものは憎むべきものだが、ローチはその判断を観客にポンと委ねる。そして私たちは気付く。そうとしか生きれない人達の深い哀しみに。背徳行為に追いやるのは、社会そのものであることを。外国人在留者の多い日本にとっても人ごとではないことを、ラストシーンが物語る。

<語ろ具ライター 桑島まさきさん が試写会を観て来ました>

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